本書「ドリルを売るには穴を売れ」はマーケティングの入門書です。
私がブログを書き始めるにあたり、マーケティングの知識も必要だと思い、手に取りました。
この本を読むと自分がそのモノを買った理由、買わなかった理由を理論的に解釈、説明できるようになります。
=無駄な買い物が無くなり、自分が本当に必要としていたモノにお金を払う事ができる
今回はこの本に書かれていた、マーケティングにおける知っておくべき4つの理論をまとめました。
ベネフィットー顧客にとっての価値
ベネフィットとは「顧客にとっての価値」の事。
例えば、あなたが工具のドリルを売っているとします。
あなたにとっての売り物はドリルですが、顧客にとってはドリルが開ける「穴」に価値があるのです。この「穴」がベネフィットということになります。
マーケティングの本質は、「顧客にとっての価値」を売り、その対価としてお客様からお金をいただく事です。
顧客が「買う」決断をするのは、自分が得られる価値が、払う対価より大きいと感じるときです。
顧客が支払う対価とは、商品やサービスの金額の他に、商品についての情報収集の手間や時間、お店に行く時間や交通費、使い方を覚える時間など、
「価値を得る」ための金額、時間、手間などの全てが含まれます。
よって、マーケティングとは、顧客にとっての価値に関連するすべての人のことであり、作る人、売る人全てを含んだ全社員の仕事です。
[価値の不等号を維持する]
上図の不等号を維持する方法は二つしかありません。
・左辺を大きくする(顧客が得る価値をさらに高める)
・右辺を小さくする(つまり顧客が払う対価を下げる)
ベネフィットには、機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットがあります。
[機能的ベネフィット]
物理的な価値早い、便利、うまい
[情緒的ベネフィット]
情緒的な価値優越感、特別扱い、名誉、ステータス、思い出、記念
ルイヴィトンのバックで例えると、
・機能的ベネフィットは、収納力が高い、持ちやすい、丈夫で壊れにくい、アフターサービスが良い。
・情緒的ベネフィットは、かっこいい、人を持ってる人と思われる、達成感、ご褒美 など。
価値の源は人間の欲求であり、「生存欲求」、「社会欲求」、「自己欲求」に大別できる
「生存欲求」
生き続けたい、肉体的な快楽例、生きるためのお金が欲しい。美味しいものを食べたい
「社会欲求」
他人との関係においてよく思われたい0、名誉欲、良いものを見せびらかしたい、異性にモテたい
「自己欲求」
他人とは無関係に自分の中で完結する例、もっと成長したい。自分の思う通りに行きたい。ストレス発散したい。
人間はこのような欲求を満たすためにお金を払って何かを買うので、逆に言えば売るためにはこのような欲求を満たしてあげれば良いということになる。
セグメンテーションとターゲティングー顧客を分けて絞る
セグメンテーションとは顧客を分けることです。
性別、年齢、居住地域など分けられた顧客のグループをセグメントと呼び、
その中の売ろうと狙いをつけたセグメント(顧客)をターゲットと呼びます。
セグメントには、機械的に分けられた、性別、年齢、居住地域のほかに、心理や行動、ライフスタイルの違いなどをベースにした「心理的セグメンテーション」があります。
例、腕時計
1.そこそこ正確で低価格層(数千円のシンプルな腕時計)
2.正確で手間いらず層(電池交換不要の電波式の腕時計)
3.デザイン重視層(見た目さえ良ければ、数秒ずれていようが手巻き式だろうが問題ない)
4.ブランド重視層(ロレックス。他人にどう見られたいかを投影する)
セグメンテーションとターゲットは常にセットであり、
機械的に分けられた人工的セグメンテーションと心理的セグメンテーションをセットつなげるとよいです。
ある性別や年齢層に共通するような心理・行動がわかれば、うまく人口統計的セグメンテーションと心理的セグメンテーションをつなげて解釈できます。
分けられた顧客セグメントの中で、売りたいセグメントが「ターゲットセグメント」となります。
自社の強みが生きるかどうか、切実にその商品やサービスを必要としているか、等の基準でターゲットを選ぶ必要があります。
差別化ー競合よりも高い価値を提供する
自分の求める欲求を満たすことができれば、顧客にとって業界の垣根などどうでも良いことです。
例えば、ハンバーガー市場におけるマクドナルドのシェアは70.1%です。
しかし、実際に競合するのは、ハンバーガー屋だけではありません。
ファーストフードとしては牛丼屋や立ち食いそば屋と競合するし、おしゃべりの場としてはカフェなどと競合します。
すると、シェア70.1%という数字の根拠となる、
「ハンバーガー市場」という前提がそもそもおかしい事になります。
自分が外食をする時の気分を想像すればわかりやすいですが、
・忙しいから早く済ませたい
・ネットに載ってたあの店に
・行きつけの◯◯さんの店に
・デートで使うから雰囲気の良い店がいいな
・雨が降っているから近いところで済ませよう
・ランチは500円以内で食べよう など。
「価値」「ベネフィット」と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、
要はどんな気分でどのように選ぶかという、私達が日常で自然とやっている事です。
3つの差別化戦略
「手軽軸」
ある程度の品質のものを安く、便利に提供する。品質は最高ではないがそこそこ安くて手軽なファーストフードなどがこのベネフィットを提供している。
「商品軸」
最高品質の商品やサービスという売り物を主たする高級な食材で店内の雰囲気も豪華なので早くも安くもないが美味しい、高級レストランなどがこれにあたる。
「密着軸」
顧客に密着して徹底的に顧客のニーズに応える。早くも安くもすごく美味しい訳でもないが、自分の事や好みを知ってくれている「いつものお店」。
差別化軸は3つのどれかに特化する必要がありますが、かといって他の軸でも平均以上の価値を提供しなければなりません。
どんなに安くて早くても(手軽軸)美味しくない牛丼屋には行かないし、
どんなに美味しくても(商品軸)店員の態度がめちゃくちゃ悪い(密着軸)お店にはあまり行きたくないですよね。
4Pー価値を実現するための製品・価格・販路・広告
4Pとは…
・Product(製品・サービス)→これを通じて顧客に価値がもたらされる
・Promotion(広告・販促)→製品・サービスの価値を顧客に伝える
・Place(流通・チャネル)→実際に顧客に価値を届ける経路
・Price(価格)→お金をいただく事で会社に価値の対価がもたらされる
1.どんな価値を売るのか?ーProduct(製品・サービス)
パン屋はパンという物体を売っていますが、顧客はパンを通じて何をしようとしているのでしょうか?
日曜日の朝、カフェオレと一緒に食べるクロワッサンを買っている顧客は、「優雅なひととき」を買っています。
朝食を使っている暇がなくてサンドイッチを買っているサラリーマンは、「時間の節約」を買っています。
つまり、「何を売っているのか」「あなたは何屋か」という問いは、「あなたがどんな顧客の、どのような価値を実現しようとしているのか?」という問いと同じです。
2.価値を伝えて買ってもらうための方策ーPromotion(広告・販促)
4PでいうPromotionは、キャンペーンや広告なども含めた「顧客への認知と購買の促進」という広い意味で使われます。
広告を分解すると、「広告媒体」と「メッセージ」になります。
「広告媒体」とは、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、折込チラシなど。
「メッセージ」を通じて製品やサービスの差別化ポイントを伝え、お客様に買ってもらう。
広告は認知を促進する手段の総称であるのに対して、販促はその場での購買を促進する手段です。
例えば、シャンプーのサンプリング、マグロの解体ショーなどのイベント、スタンプカードやポイントカード、期間限定の値引きや福袋など。
3.どこで買ってもらうかーPlace(販路・チャネル)
どこで売るのかという事。店舗、営業マン、代理店、自動販売機、通販等。
4.どれだけの対価を受け取るかーPrice(価格)
顧客にとって、価値が高ければ価格が高くても払うし、価値が低ければいくら安くても買わない。
低価格でものを売る場合、
低コストで生産し、それを多くの顧客に売って利益を稼ぐという客数重視型であるのに対して、
高価格でものを売る場合、
手間金をかけてこだわった製品を生産し、それを求める少数の顧客に売って利益を稼ぐという客単価重視型になります。
「ベネフィット(顧客にとっての価値)」「ターゲット顧客」「差別化戦略」「4P」に一貫性があることは、良いマーケティングの必要条件である。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私はこの本を読んでから、
「今日のランチは時間がないから手軽軸で選んだな」
「この商品の価格は何に対しての価格だろう?」 など、
日々の行動をマーケティング目線で考えられるになりました。
実際にこの本は、4つの理論の説明と一緒に、各々の理論にそったストーリーも書かれているので、非常に読みやすく理解しやすい内容となっています。
これからマーケティングを学ぼうとしている方はもちろんですが、
衝動買い、爆買い癖のある人はそれを治すきっかけになるかも知れません。
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